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とんぼ玉技法の部屋

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凸面・凹面のガラスの動きは?

下玉にパーツを入れたりして(水中花などで)仕上げ段階になると 極端な凸やら凹面の連続となりますね。
初心の頃は、この先どのように球面に仕上げるのか?判りません。私めも最近になってツラツラと考えをするに到り。
・・・・・・・ってな事でありまして、私なりにガラスの動きを理屈も交えて整理してみました。
   いつもの如く 師匠無しの独学者の発言でございますよ。

ガラスの分類は水と同じ液体だそうな


てなわけで 水にかんする書物ならばと ヒントを探すも それらしき本は見つからず。
ようやくの一冊がこれでした。

しかしながら参考にするべき項目はほぼゼロ。

中に 表面張力の解説ページが有りまして、目からウロコでした。
一気に問題解決解決の方向性が見えました。

その内容です。

水の分子間に働く張力の解説。

分子と分子は各々が引っ張り合う力が働くそうです。

中央の図は水の表面」にある水分子の力関係

下の図は水中の力関係。

表面と水中での違いは上部分の張力が表面分子には働かない
そこで表面張力です。表面の水分子は水中に引っ張ろう、引っ張ろうとされていることになります

表面張力は表面の面積を最小にしようとするそうです。ゴム風船の表面のようです

つまりは表面は縮もうとしている訳で、縮む分だけ余分が発生して
どこかの表面分子は水中に引っ張られるように移動して行くわけです。
そうして水の表面は最小の面積に落ち着くのだそうです

ガラスの表面や内部もこのような力が作用しているのだと考えると
以下に書きとめました各項目の結論な到りました。

まず最初に

凹凸があるとんぼ玉の表面で考えてみます。

理想表面になるのには凸と凹はそれぞれが最小面積に落ち着くように
ガラスの表面では引っ張りこの力が作用して余分なガラスは中に埋もれて行くでしょう。

もちろんガラスには重力による液体としての垂れる要素は有りますが
説明では省略、考えない事にています。

例えばこんなふうな場合

水中花の花パーツをいっぱいに広げた、その上にクリアーガラスを
盛つけて、炎で加熱 表面を平らになるようにすると

花は中心が凹んでしまい、立体的な花になることができます。

盛り上げ分が表面積を最小に引っ張り合い 盛り上がり部分のガラスは
その中心内部方向に動いた結果と考えることができます。

注視する点は 中心方向に移動していくことですね。
左右にダラダラと広がるのではないようです。

盛つけのガラス表面の分子がそれぞれ引っ張り合う力関係でしたらば
風船が縮んで行くようなガラスの移動が起きますね。
一見すると花部分は中央も端も全体がそのままの状態で
沈んでいきそうですが? そうはなりません。

こんな事を参考にして考えると 色々なケースでのガラス移動予想ができますね。

こういう事ではなさそう

上のガラスの動く状態はこういう感覚とは少し違うようです。

板の上に水の塊が乗っているとします。水は 水の山の表面に沿って流れだしていく。
こんな感覚が私たちが日常感じている状態ですね。

ガラスの盛り上がり部分も同じように流れるのと思っていませんか。
ちょっと違うようです。

分子は高速で動いているそうです。

分子は凄い速度で動いているそうです。新幹線など比べようもないくらい。
動いては隣の分子に衝突して向きを変えているそうです。

その動きは 気体が一番早く 次ぎは液体 個体が低速になる関係です。
動くために必要なエネルギー源は何か 分子がもらう熱エネルギーだそうです。

私たちがバーナーでガラスを加熱する事でガラスの分子は勢い良く動き回っている。
ガラスを熱くすればするほど分子が勢いを加速させて動き回っている。
ですから 熱いガラスは垂れやすい現象になるのでしょう。

ここで考えておくべきは、熱すぎるガラスは表面張力で移動するだけでなく垂れてしまうような
動きも出てくるのだ、 上の図の水が流れるような動きが出てくる。ガラスの分子は活発な
動きをしたがっているんだ と云うことなのでしょうね。

とんぼ玉作りで初心者に難しいのがガラスの温度管理。直ぐに形が崩れたりしませんか?
ガラスの温度が低めで有れば表面張力の作用は強く働きますから より有効に活用すると良いトンボ玉が作れますね。

温度高すぎるとガラスは軟らかくなりすぎて 垂れるや 水の流れる ようなガラスが動く動作が追加されてしまい
なかなか良いとんぼ玉が作れ無い 事に繋がるわけだと 考えています。

初心者の方々は もっと もっと ガラスの温度は低くして良い のではないでしょうか。
但し 低い温度ながらも ガラスの中心(深い部分) と表面近くの温度差は少なく 均一な温度を保って作る これって 
大切ですよ。

ガラスの盛り上がり部分を部分的に見てみると

一箇所のガラスの盛り上がり部分のAとBの部分ですが、良くみるとAは盛り上がりの
お山状態ですが Bの部分は凹みの部分になっています。


ですからガラスの表面張力による動きとしては 赤の矢印が示すような動きであると予想できます。

このように動いて 最終的には平面状態になるのですね。 こんなふうに思って作っております。

まとめです

以上の事柄をご自分なりの作業で予想してみていただくと 今後の参考になるかと思います。

ガラスの表面は常に縮もうとしています。 風船の表面のごとく です。
熱すぎるガラスの分子は活発な運動をしていること。その運動するための源は 熱エネルギーだと言うこと。

ガラス表面を熱くしすぎると 水の流れのごとくガラスが移動しやすくなります。

表面張力の効果を最大限利用するには適度なガラス温度が大事。 
これを使いこなせば 思い通りのとんぼ玉が完成できるでしょう。 少しぐらいの凹凸は模様を崩す原因ではない
炎でなじませれば平らな玉にできあがります。

凹凸よりも注意すべきは ガラスの温度が高すぎませんか と云うこと。これが模様を崩す最大原因では?


私の 凸凹解消方法について紹介

仕上げ段階や 点打ち時の凹凸解消 玉の形状の変形防止 などで使うやり方です。

極端に段差の発生した場合には 凹凸の凹み部分にクリアーを追加盛付けしますが その量は気にしません。
凹み過ぎてはいないだろうか程度のものです。少々の凹凸は気にしません。 のんびり加熱してやれば最終的には平らに落ち着くからです。

作業要点

1.玉の温度を上げます。 但し適度な温度に保持。中心から表面まで温度が均一にするような感覚で加熱。
   何度位なのか?  の一つの判断方法は コテの上で玉を回転させてみて コテにガラスの凹凸がぶつかる
   音を一つの判断基準にしています。 金属音がする場合はまだガラスが硬い。 
   その音が柔らかめの音(カラカラ音が無くなる)に変わればそろそろ良いかな そんな見極めをしています。

2.表面張力を利用するにしても コテの上で回転させて 玉の形を整えていく作業は必要になります。
   この時の玉を押し付ける手の力は最小限にして回転させます。玉の自重プラス芯棒の自重で押さえる
   その程度の感じで回転動作をしています。無理に押さえると必ず変形してしまうと思っています。

3.転がる移動量は手前側 向こう側 との往復動作ですが、 必ず同じ移動量にするようにしています。
   右回転から開始したらば 次ぎは左回転からと そんなことも注意しています。  
   押さえる方向に偏りが出ると 凹凸面ですからどうしても 押さえの多い方向力によって
   ガラスは移動してしまいます。 手前に移動してしまったガラスを次は向こう側に移動させてやれば元に戻る
   そんな考え方です。 

4.コテで回転させる時ですが、 炎で玉を加熱して 直ぐに回転作業に移らずに ひと呼吸 置いてからにしています。
   理由は 炎で表面が高温になってしまっている  玉の中部の温度に近づかせるように ひと呼吸冷まして
   凸面の表面温度を下げてから回転作業をするようにしています。 どうしても温度の高いガラスの部分は自由に動き   たがると思っているので。

5.急がずに 気長に 作業すること。 ガラス表面を熱くしすぎないために 気長に作業しています。


具体的に

こんな形状でも理想形状にもっていけます。
通常は凹面にクリアーガラスを盛つけて凸面まで平らにしますが
炎で馴染ませていく方法でも理想形状にもっていけますよ。

凸部分はパーツを乗せてクリアーを被せるとこんな形になりますね。
凹部分は下地になにも無い部分。 でこの状態から理想の形に。

凹面は盛上がりで理想形に、凸部分は表面張力で沈んでいきます。
コテを使って平らにする作業では押さえ過ぎないことが大切。
表面も内部も同じ温度に持っていきましょう。

但しここでの作業中に配慮の必要な事は、表面張力でそれぞれの部分が沈み込んだり盛り上がったりする
ガラスの動きが起きているとゆうこと。 つまりは内部のガラスは横方向にも少しの移動が発生すること。
局所的に急激な厚みの変化の有る部分は内部のガラスは動くのです。これで模様が崩れていきそうでしたらば
その部分にはクリアーを乗せて段差を緩やかにしてあげる作業も考えましょう。

こんな注意も必要。  凹凸の有る状態で玉の模様を眺めると、何か模様が崩れているように見えてしまいます。
これは クリアーのレンズ効果で歪んで見えているのかもしれません。

最初の大きな厚み変化の有る状態では、炎だけによる作業を重点的に行い、ある程度段差や凹凸が小さくなれば
コテで柔く転がし、最終時のピンホール的な小ささな凹みはクリアーの細引きを使って盛付けるようにすると良い。
ガラス表面を熱くしすぎないようにして表面も中心部分も温度差が少ないように、じっくりと玉を馴染ませるように
気長に加熱を続けてやり、ガラスの表面張力とそれによるガラスの内部への沈み込み現象とを作るように
してあげれば今までは大きなサイズの玉にしか出来上がらなかったものが、コンパクトな玉に仕上げられますよ。


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